市内への出店が相次ぐ状況に、スーパーを経営する会社の幹部社員の1人は「金沢市内は既にオーバーストア(人口に比べて、スーパーの数が多い)で、経営は厳しい。必ず、つぶれるところが出るだろう」と、顔をしかめる。別のスーパー経営者も「『勝ち組』と『負け組』に二極化しており、いかに『勝ち組』に入るかのしのぎ合いだ。資本力があり、きちんとした戦略、システムができたところが勝つ」と、表情を引き締める。
景気の先行きが見えない中、買い物客の財布のひもも固くなっている。買い物客1人あたりの購入金額は減少し、どんたく西南部店の新谷店長は「金沢のお客様は必要なものだけを買うように見える。購入金額が七尾より1割ほど少ない」と驚く。業界内で「繁盛店」の目安となる1坪あたりの売上額も、以前より2,000円程度下落しているという。
競争によってサービスが向上し、安全でおいしいものを安く買うことができれば、消費者にとってはうれしい限りだが、「負け組」が生まれ、身近な場所から店舗がなくなっていけば、車を持たない高齢者を中心に、食料品など日常の買い物が困難な「買い物難民」を生むことになる。
折しも11月12日、金沢市が「買い物利便性向上検討懇話会」の初会合を開いた。「買い物難民」が全国的に問題となる中、特に高齢化率の高い旧市街地で現状を調査して、問題があれば対策を考えるのが目的だ。事実、総務省の商業統計によると、同市内の飲食料品小売業者は、1999年6月には1,680店舗あったが、2007年6月には1,460店舗に激減している。
かつてスーパーの台頭に伴い、街から個人商店が消えていったように、スーパーもまた淘汰(とうた)されていくのか。「戦争」の行く末はまだ見えない。