芸妓(げいこ)の太鼓と笛の演奏で華々しく幕開けた国際会議。ゲストスピーカーには世界を飛び回る料理人・経営者のアラン・デュカスさん、アーティストのアレクサンダー・ゲルマンさん、彫金の人間国宝の中川衛さん、ザ・リッツカールトン創業者のホルスト・シュルツさんというそうそうたる面々を迎えた。
現在北海道のニセコにエコラグジュアリーホテル「カペラ」を建設中とあって、日本の観光業というものに強い関心を持つシュルツさん。最も大事なことは「キープザゲスト」と強く言う。「キープザゲスト」とは、今いるお客さまに最高の満足度を与え、再び来てもらう。「お客さまを維持する」ということが大事ということだ。またラグジュアリー層が求める旅とは、ただ高級なものというわけではなく、その土地固有の「文化、人々とつながりたいと思っている」。表面的なぜいたくなものを見るだけではなく「これが本物だ」と思いたいと…。それには一律のサービスではなく、法・モラルに反しない限り、望むものすべてを提供する「完全な個別化」に対応できるものでなくてはならない。
具体的には、カペラではチェックインとチェックアウトの時間設定はなく、予約があった時点で、この街で何をしたいかをゲストに尋ね、もしミュージカルを見たいというのであればチケットの手配やお勧めのプログラムをリサーチしたり、好みのまくらを用意したりするなど、何もかもパーソナルなケアをするという。